サステナブルでエコな素材、”麻”の魅力

はじめに

衣類の生地としてよく使用されている麻は、放熱性、吸湿性に優れており、肌に触れるとサラッとした清涼感を感じます。夏服として多用されている方も多いのではないでしょうか。
SDGs（持続可能な開発目標）の中には、環境に配慮した内容が含まれており、世界的にも環境問題に対する取り組みが積極的に行われています。このような環境への意識が高まる中、「麻」が注目されています。

麻は、茎や幹、葉脈からとれる繊維であり、セルロースから構成されている植物繊維の総称です。麻というとリネンが有名ですが、麻にはリネン以外にも代表的なものにラミー、ヘンプ、ジュートなどがあります。今回はその中から「ジュート」と呼ばれる素材を取り上げ、エコの面からみた魅力をご紹介します。

1. 環境問題で注目の麻「ジュート」

日本は、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」において、温室効果ガス排出量の削減目標を2030年時点で13年と比較し46%削減、長期目標では2050年までに80％削減を掲げています。環境問題への対策は喫緊の課題となっています。その対策の手段として衣類やバッグに使用される「ジュート」にはどのような特徴があるのでしょうか。

※コーヒー豆や穀物の袋にも使用されるジュート

2 .ジュートの概要

ジュートは、黄麻(コウマ)という植物から作られます。栽培にあたっては、高温多湿の環境で湿潤な土壌があること、さらには繊維を水に浸しながら発酵させるため、大量の水があることが条件です。そのため、主にこれらの条件を満たした熱帯、亜熱帯地方で栽培され、原産地はインド、バングラデシュ、中国などです。インド産はインド麻、バングラデシュ産はジュート、中国産は黄麻と呼ばれます。

ジュートはリネンのような他の種類の麻と同様、成長速度が非常に早いです。一般的には2～5月頃までに種を蒔いてから、3、4ヵ月ほどで2～3mの高さまで成長し、6～9月頃に収穫します。収穫時期によって繊維の質が異なりますが、花が散る頃が最も質の高いジュート繊維を採取することができます。

2-1. ジュートの特徴

ジュートには優れた特徴がいくつかありますが、代表的なものを3つご紹介します。

①保温性
ジュート繊維の毛布は保温性に優れており、冬でも暖かく快適に過ごせます。

②通気性
水分の吸収性、放出の早さから通気性にも優れています。汗ばんだ場合も肌に密着しにくく、汗の吸収、発散が早いため、冬場に限らず夏場に使用する上でも最適な繊維です。一年を通して快適な環境を提供してくれると言えるでしょう。

③耐久性
麻を含めた天然繊維の中でも、最も耐久性が高い繊維の一つです。また、水に濡れると強度がさらに増します。

2-2. エコ素材と言われる理由

他の麻同様、ジュートも非常に環境にやさしい素材です。ジュートがエコ素材と呼ばれる理由を3つご紹介します。

①地球温暖化対策
光合成が旺盛な植物であり、一般的な木と比較して二酸化炭素の吸収力が5～6倍あります。地球温暖化対策として、大気中の二酸化炭素をいかに減らすかが重要であり、様々な場所で緑を増やす取り組みが進められています。ジュートの高い二酸化炭素の吸収力は、地球温暖化対策に大きく貢献できるのではないでしょうか。

②バクテリアによって分解される
ジュート製品は、焼却しても有害物質が発生することがありません。また一度土中に埋めると、バクテリアにより完全に分解されます。土に還るため、環境汚染には影響することはありません。

③工程中に発生する廃棄物が土に還元させる
ジュートの工程中には大量の廃棄物が発生します。ジュート製品が最終的に土壌に還元されるのと同様に、発生した廃棄物も土に還り自然環境系に組込まれます。

2-3.ジュートの用途

ジュートはその特性を活かして、様々な用途で使用されています。

①エコバッグ
丈夫で環境にもやさしいジュートは、エコバックの原料としては最適です。

②カーペット
保温性を有していることから、カーペットの裏地にも使用され、冬も暖かく過ごすことができます。

③自動稲刈り機の結束用ひも
土壌に還元する特徴を活かし、稲刈りをした後に放置したとしてもバクテリアにより分解されます。また粉砕することで、肥料として使用することも可能です。

3. 麻を積極的に取り入れ始めたアパレル業界

SDGsは一部の企業も積極的に取り組んでいます。あるアパレル業界の企業では、大量生産・大量消費・大量廃棄が問題の中で、オリジナルブランドを立ち上げ、SDGsの目標達成へ向け活動を続けています。ナイロンやプラスチックなどの石油製品の使用を削減し、麻のような天然素材を使用した商品提供を積極的に進めています。

春や夏を中心に、麻製品や麻複合製品は肌触りの良さからも需要が定番化していますが、同製品にはノーアイロン可能なイージーケア性、ウォッシャブル機能が付与されており、機能面でも充実させた上でさらなる拡販に注力しています。

弊社でも環境に配慮した製品開発のため麻を取り入れています。ジュートを使用したトートバッグはお客様に「梅雨や夏でも通気性がいい」「軽くて使いやすい」とご好評をいただいております。

■さいごに

環境問題解決のための一役を担う麻素材、ジュートの特徴や魅力がお分かりいただけましたでしょうか。政府、企業をはじめ、様々な角度から環境問題へ対応していこうと取り組みがなされる中、麻の「素材の可能性」を徹底的に追求していくことが、解決の糸口になることでしょう。

当社では麻素材を使用したバッグやポーチのオリジナル製作・OEM生産を承っています。麻素材でオリジナルグッズの製作をご検討されている方は、ぜひご相談ください。